クロスステッチのティクロワ

松本竣介展 生誕100年 2012年12月

 

謎めいた人物画や静まり返った風景画。
自分の近くにいる人・家族そして自分自身を何度も描いている。
横浜と御茶ノ水の風景もまた、何度も描いている。
36才という若さで夭折したこの画家の作品点数は驚く程多く、
その大きさと深い色彩で観ているこちらを圧倒してくる。
その上、雑誌を発刊したり、疎開先の家族へ、友人へと
絵を添えたはがきをしたためている。残されたスケッチブック、
雑記帖、いつも常に何かを描いていた人だ。
前期では14才で聴力を失い画家としてスタートをきり、めまぐるしく
画風を変化させていった青年期を、後期:人物では成熟期の作品より
人物画を中心に集め、後期:風景では1940〜47年「無音の風景」とも
称された都会の人気のない喧噪から隔絶した場所、かつて描かれた
ことのなかった独特の風景画世界を堪能できる。